歯並びの悪化予防
(0歳~5歳)
むし歯の予防だけではなく、
歯並びの悪化を予防することも大切です
当院では、この時期に矯正治療を開始することはまれです。
お口の中を診て、歯並びが悪くなる要因があればお伝えしたり、将来の歯並びについてご説明させていただきます。
歯並びが悪くなる原因には、顎の大きさなど遺伝的な要因がありますが日々の生活の中に原因が潜んでいるケースもあります。遺伝的な要因に関しては、気をつけることはできませんが、生活習慣の中で予防できることもあります。
メリット
- 歯並びの悪化が機能的な問題であれば、おとなと比較して早期に改善しやすい。
- むし歯によって乳歯が早期に抜けると、歯並びに影響することがあり、早めに対策することができる。
- 小さい頃から、歯医者さんに通う練習ができ、歯医者さんに行くことが当たり前になってくれる。
デメリット
- 治療の協力を得るのが難しい。矯正治療の介入を早くしてしまうと、矯正治療の期間が長くなり、負担が大きくなる。
- 歯並びの悪化が遺伝的な問題であれば、対策を行っても求める効果を得ることができないことがある。
下記のような悩みをお持ちの親御さんは、
いらっしゃいませんか?
- 乳歯列なのに、もう歯ががたがた
- 前歯が反対のかみ合わせ
- 子どもの前歯の裏側からおとなの歯が生えてきた
- 指しゃぶりをずっとしている
- お口がいつもぽかんと開いている
- 上の前歯と下の前歯で食べ物を噛み切れない
- いびきをしている
- 矯正治療っていったい、いつから始めればいいの?
POINT
歯並びの悪化を防ぎ、
個々に合わせて適切な治療時期をお伝えします
必要に応じて取り外しの矯正装置を使用しますが、積極的な介入は、子どもの矯正治療(6~10歳頃)が一番効率が良いと考えています。
5歳未満の時期で治療を行うことはできますが、「乳歯のときに反対咬合を治したが永久歯が生えてきてまた反対咬合になってしまった」、「乳歯列の時期に歯並びがきれいになったが、前歯(永久歯)が捻れて生えてきた」など、結果的に治療期間が長くなってしまう場合があります。
皆さんに
知っていただきたいこと
生まれてから
適切な母乳、
哺乳瓶の飲ませ方
母乳、哺乳瓶の飲ませ方によって、お口の筋肉の使い方など、将来に影響する場合はあります。下半身を安定させる哺乳をすることで、正しい嚥下の仕方や筋肉を発達させて、離乳食が食べられる準備をしましょう。
抱っこの仕方
赤ちゃんが頭をのけぞらせるような姿勢は、口が開いて口呼吸の姿勢になってしまいます。頭がのけぞらないよう、背中をゆるやかに丸く抱っこします。
寝かせ方
抱っこと同様に、赤ちゃんの背骨の形をCカーブに保つことは、丈夫な背骨を作るポイントになります。
かたい布団は避け、背骨を伸ばさないようにしてください。
赤ちゃんの首がすわってくると、徐々に背骨の形がS字になるため、おすわり、ハイハイができるようになるとCカーブは止め時となります。
首がすわってから
(目安は生後3~4ヶ月頃)
首がすわったかの
確認方法
縦抱きにしても頭が揺れない。もしくは、腹ばいにすると頭を持ち上げる、あおむけにして両手を持って45度まで引き起こすと、頭が遅れずについてくる等で確認できます。
抱っこ紐
首がすわってから、抱っこ紐を使用する場合、頭が後ろに倒れず、保護できるものを選んでください。おんぶの場合も同様です。
ハイハイが
できるようになったら
たくさんハイハイをさせてください。ハイハイは、頭を支える背骨の発育を促し、体幹を育てる重要な発育段階です。早く立たせること、歩かせることはよくありません。正しい姿勢を保つことで、自然な鼻呼吸へと誘導します。
事前指導
離乳期の場合
離乳食の食材のかたさ、大きさ、粘性などを感じて、それに応じて食べ方を変える学習経験を積みながら、食べる機能が獲得されるよう練習しましょう。
乳歯がまだ生えていない時期から、舌・口蓋・歯槽堤で少しずつ噛みつぶす動きを練習するのも良いです。
離乳食の時期(生後5~6ヶ月頃、個人差があります。)
離乳食の開始時期
開始時期の目安は、首のすわりがしっかりしている、支えてあげると座ることができる、大人が食べるものに興味を示している、スプーンの先を口に入れても押し返すことがない等です。
5~6ヶ月になったから離乳食を始めるのではなく、赤ちゃんの成長に合わせて開始時期を決めましょう。
食事の仕方
食事中の姿勢は、足が地面にしっかりとついた状態で食べます。スプーンで食べ物をあげる時は、上下の唇で食べ物をとらえているか確認します。
丸飲みを防ぐために与える食事の大きさ、硬さなど工夫が必要です。飲み物を与える場合、流し込み嚥下にならないよう配慮が必要です。
むし歯の母子垂直感染
離乳食を開始する時期は、特にご家族で食卓を一緒に囲むことが多いため、不安になる方がいるかもしれません。保護者様のお口の中をきれいにすることも大事ですが、あまり神経質になりすぎないよう適度に配慮するのが良いかもしれません。
赤ちゃんの砂糖の接種頻度を減らすことも、むし歯対策になります。
乳臼歯の萌出期の場合
幼児食を通じて食べ方が発達する時期にあたり、噛まずに丸飲みしたり、食物を噛もうとせず口の中に溜めている状態が見られた場合には、与える食物のかたさ、大きさ、粘性などの食物形態を臼歯の萌出程度に合わせて工夫するよう指導を行います。
前歯で噛み切らずに口に吸い込んだり、押し込んだりする食べ方は、窒息の原因になるため、特に危険が伴う食べ方として注意が必要です。
乳歯列期完成の時期(3歳頃)
おくちポカン対策
口呼吸は、口の中が乾燥することで、むし歯のリスクが上がったり、口臭の原因となります。
また、歯並びにも影響を与えるため、お口を閉じて、自然な鼻呼吸を目指しましょう。
鼻疾患がある場合は、耳鼻科の先生に相談しましょう。
食事の仕方
正しい姿勢で、足は地面にしっかりとついた状態で、口を閉じ左右でバランスよく嚙みましょう。
食べ物、飲み物を飲み込む時の舌の位置はどこにありますか?飲み込む時に前歯に舌先がついていると上下の前歯に隙間ができます。正しい舌の位置を獲得しましょう。
口腔習癖について
指しゃぶり、爪噛み、唇を噛む癖、頬杖、うつ伏せ寝はしていませんか?そのような癖があると、歯並びや骨格に悪影響を与えることがあります。
そのような癖があれば、適切な時期にやめるよう目標を立てましょう。