岡山県倉敷市新田のロッソ矯正歯科 赤木です。
保険の矯正治療については、2024年7月にFMくらしきラジオ番組に出演した際にお話ししていますので、興味のある方は聞いてみてください。下記をクリックするとリンクに飛べます。
第124回 2024.7 「保険適用となる矯正治療について」
「矯正治療は高い!」「なぜ保険が利かない?」「保険の利く矯正治療があると聞いたことがある」
そのような話しを聞いたことはありませんか?
矯正歯科治療は一般的には保険適用外ですが、下記の場合に限り保険診療の対象となります。
(ただし保険対象となる方の割合はかなり少ないと思われますので、基本的には保険の利かない自費診療であるという認識が良いと思います。)
①「厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
2021年6月時点で、59の対象疾患がありますが、代表的なものとして唇顎口蓋裂、ダウン症などあり基本的に医師の診断書が必要となります。
また、6歯以上の先天性部分無歯症(親知らずを除く6本の歯が元々ない場合)など対象となるものもあります。
②前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
おとなの前歯がなかなかはえてこない場合、対象になる可能性があります。ただし、3本の前歯が埋まっておりかつ、埋まっている歯を引っ張り出して並べる必要あるため、対象者が限られると想像します。
③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・手術後の矯正歯科治療
受け口傾向が強い、歯ぐきが多く見えてかみ合わせも悪いなど通常の矯正治療で対応困難な場合、顎変形症という病名のもと手術を伴う矯正治療をおこなった場合、保険対象となります。ただし、美容目的の治療ではなく、あくまでかみ合わせを改善することが主目的になります。
筋電図、顎運動検査をおこなう必要があり、当院で検査することが可能です。
当院では矯正治療は担当しますが、手術は岡山大学病院や倉敷中央病院など連携をとっている病院にお願いすることとなります。
なお、これら保険適用される矯正歯科治療を行える医療機関は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみになります。
この保険医療機関の名簿に関しては、地方厚生局ホームページに最新の情報が掲載されています。
1.岡山厚生局と検索して、サイト内検索に「施設基準届出受理医療機関名簿」を入力してください。
2.県別の受理医療機関より歯科のPDFを探してください。
3.そのPDFから「矯診」あるいは「顎診」の指定医療機関を探してください。
PDF内に多くの歯科医院が掲載されているので、「矯正歯科」「矯診」「顎診」などで検索すると見つけやすいかもしれません。
「矯診」歯科矯正診断料算定の指定医療機関:上記①、②が保険適応される医療機関となります。
「顎診」顎口腔機能診断料算定の指定医療機関:上記③顎変形症が保険適応される医療機関となります。
岡山県内などで対象の施設を検索する際の参考にしてください。
当院は、指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)であり、「矯診」「顎診」の保険医療機関となります。
保険で矯正治療をする際に、そのまま進めてよいか判断が難しい時があります。その場合、厚生局に判断を仰ぐこともあるため、保険対象だとしても絶対に保険で矯正治療ができると誤解しないようにしてください。
また、保険診療は国の決められた矯正器具を使用するため、マウスピース型矯正装置や舌側矯正装置は保険の対象外となります。
下記に参考で別に厚生労働大臣が定める疾患について列挙します。
2.ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
3.鎖骨頭蓋骨異形成
4.トリーチャ・コリンズ症候群
5.ピエール・ロバン症候群
6.ダウン症候群
7.ラッセル・シルバー症候群
8.ターナー症候群
9.ベックウィズ・ウイーデマン症候群
10.顔面半側萎縮症
11.先天性ミオパチー
12.筋ジストロフィー
13.脊髄性筋委縮症
14.顔面半側肥大症
15.エリス・ヴァンクレベルド症候群
16.軟骨形成不全症
17.外胚葉異形成症
18.神経線維腫症
19.基底細胞母斑症候群
20.ヌーナン症候群
21.マルファン症候群
22.プラダー・ウィリー症候群
23.顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。)
24.大理石骨病
25.色素失調症
26.口腔・顔面・指趾症候群
27.メビウス症候群
28.歌舞伎症候群
29.クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
30.ウイリアムズ症候群
31.ビンダー症候群
32.スティックラー症候群
33.小舌症
34.頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。)
35.骨形成不全症
36.フリーマン・シェルドン症候群
37.ルビンスタイン・ティビ症候群
38.染色体欠失症候群
39.ラーセン症候群
40.濃化異骨症
41.6歯以上の先天性部分無歯症
42.CHARGE症候群
43.マーシャル症候群
44.成長ホルモン分泌不全性低身長症
45.ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群及びXXXXX症候群を含む。)
46.リング18症候群
47.リンパ管腫
48.全前脳胞症
49.クラインフェルター症候群
50.偽性低アルドステロン症
51.ソトス症候群
52.グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
53.線維性骨異形成症
54.スタージ・ウェーバ症候群
55.ケルビズム
56.偽性副甲状腺機能低下症
57.Ekman-Westborg-Julin症候群
58.常染色体重複症候群
59.巨大静脈奇形(頸部口腔咽頭びまん性病変)
60.毛 ・鼻・指節症候群(Tricho Rhino Phalangeal症候群)
61.クリッペル・ファイル症候群 (先天性頸椎癒合症)
62.アラジール症候群
63.高IgE症候群
64.エーラス・ダンロス症候群
65.ガードナー症候群 (家族性大腸ボリボージス)
66.その他顎・口腔の先天異常
今回は、矯正治療の保険対象についてのお話しでした。
保険適応の可否などにつきましては当院にご来院ください。
上記にあてはまる病気をお持ちの場合、医師の診断書があると尚更判断しやすいかもしれません。
皆様の参考になれば幸いです。
日本成人矯正歯科学会 認定医
赤木 秀瑛(Hideaki Akagi)