
「矯正を始めたいけど、マウスピースとワイヤー、どちらを選べばいいの?」
・・・こんな疑問を抱えたまま、なかなか一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。実際に当院でも、初診相談でこのようなご相談いただくことがあります。
結論から申し上げると、どちらが「正解」かは患者さんの「歯並びの状態」「ライフスタイル」「価値観」によって異なります。ただ、それぞれの特徴をしっかり理解すれば、自分に合った選択がきっと見えてきます。
この記事では、見た目・痛み・期間・費用・口腔ケア・対応症例の6つの観点から、両者の違いを丁寧に解説します。矯正専門医として、できるだけ正確でわかりやすい情報をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
マウスピース型矯正装置とワイヤー矯正(ブラケット矯正)〜それぞれの基本を知ろう
まず、それぞれの治療法の仕組みを整理しておきましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)とは
透明なマウスピースを使う矯正法です。
患者さん一人ひとりの歯型データをもとに、段階的に形の異なるマウスピースをカスタムメイドし、順番に付け替えることで歯を少しずつ動かしていきます。
代表的なシステムが「インビザライン」で、アメリカのアラインテクノロジー社が製造しています。世界各国で使用されているマウスピース型矯正装置です。
当院・ロッソ矯正歯科では、口腔内三次元光学スキャナー「iTero Element」を導入しています。従来の「印象材」(ピンク色のドロッとした材料)を使わずに、スキャナーで短時間・低負担に歯型を採取できます。
さらに、治療前に「3Dシミュレーション」で治療後の歯並びを確認できる環境も整えています。

ワイヤー矯正(ブラケット矯正)とは
歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす、古くから行われてきた矯正法です。
装置が固定式のため、患者さん自身が取り外す必要がなく、自己管理の手間が少ない点が特徴です。
適応できる症例の幅が広く、重度の「叢生」(デコボコの歯並び)や複雑な噛み合わせの問題にも対応しやすいとされています。近年では、白色や透明の「審美ブラケット」を使用した目立ちにくいタイプも増えています。
また、ワイヤー矯正(ブラケット矯正)には以下のようなメリットもあります。
- 強い力で歯を動かせるため、治療期間が短くなることがあります
- 装置が固定されているため、装着時間を気にする必要がない
- 細かい歯の位置調整がしやすい
- 抜歯を伴う大きな移動にも対応しやすい
6つの観点で徹底比較〜どちらが自分に向いている?
① 見た目・審美性
これが、最も多くの方が気にされるポイントです。
マウスピース型矯正装置は透明なため、装着していてもほとんど目立ちません。仕事中や人と会う場面でも、気づかれにくいのが大きな魅力です。
一方、ワイヤー矯正(ブラケット矯正)は歯の表側に金属を装着するため、どうしても目立ちます。「審美ブラケット」を選ぶことで多少は改善できますが、マウスピースほどの透明感は得られません。
・・・「矯正したいけど、装置が目立つのが嫌で踏み出せなかった」という方には、マウスピース型矯正装置が特に向いています。

② 痛みの感じ方
痛みの感じ方には個人差があります。
ただ、一般的な傾向として、マウスピース型矯正装置はプラスチックの弾力を利用した弱い力で少しずつ歯を動かすため、痛みが少ない傾向にあります。
ワイヤー矯正(ブラケット矯正)はより強い力で歯を動かすため、調整後に痛みや違和感を感じやすいとされています。どちらも治療開始直後が最も痛みを感じやすい時期です。
③ 治療期間・通院頻度
通院の手間は、日常生活に直結します。
マウスピース型矯正装置の通院頻度は2〜3ヶ月に1回程度です。ワイヤー矯正(ブラケット矯正)は1ヶ月に1回程度の通院が必要になります。
仕事や育児で忙しく、頻繁に通院する時間を確保しにくい方には、マウスピース型矯正装置の方が負担が少ないでしょう。
治療期間については、歯並びの状態によって大きく異なるため一概には言えません。ワイヤー矯正(ブラケット矯正)の方が強い力で歯を動かせるため、症例によっては治療期間が短くなることもあります。
④ 費用
矯正治療は自由診療のため、費用はクリニックによって異なります。
当院のマウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)の本体費用は715,000円〜990,000円(税込)です。これに加え、資料採得+診断料22,000円(税込)、毎月の調整料3,300円〜5,500円(税込)がかかります。初診相談は0円(料金表内に記載)です。
ワイヤー矯正(表側矯正)の全体矯正の相場は一般的に60万〜100万円前後とされており、費用面では大きな差がないケースも多いです。ただし、「舌側矯正」になると費用が大幅に上がる傾向があります。
なお、矯正治療は「医療費控除」の対象となる場合があります。1年間に支払った医療費の総額が10万円以上の場合、確定申告で医療費控除の申請が可能です。
同じ年の1月〜12月中にまとめてお支払いいただくと、控除される額が大きくなる場合が多いです(詳細はお近くの税務署にご確認ください)。

⑤ 口腔ケア・清潔さ
毎日のケアのしやすさも、大切な選択基準です。
マウスピース型矯正装置は取り外しができるため、食事中・歯磨き中は装置を外せます。いつも通りの歯磨きができるので、「虫歯」や「歯周病」のリスクを抑えやすいのが大きなメリットです。
また、「口内炎」ができにくい点も患者さんから喜ばれています。
一方、ワイヤー矯正(ブラケット矯正)は装置が固定されているため、「ブラケット」と「ワイヤー」の間に食べかすが残りやすく、「歯間ブラシ」や「タフトブラシ」を使った丁寧なケアが必要です。
磨き残しが多くなると、「虫歯」や「歯周病」のリスクが高まる可能性があります。
⑥ 対応できる症例の範囲
これは、歯科医師の診断が最も重要なポイントです。
ワイヤー矯正(ブラケット矯正)は適応症例の幅が広く、重度の「叢生」(デコボコの歯並び)や複雑な噛み合わせの問題にも対応しやすいとされています。
マウスピース型矯正装置は、かつては適応症例が限られていましたが、近年の技術革新により対応できる症例の幅が大きく広がっています。
ただし、「顎変形症」など外科手術が必要なケースや、抜歯後の大きなスペースを閉じるような難症例では、ワイヤー矯正(ブラケット矯正)が選択されることが多いです。
また、当院ではマウスピース型矯正装置だけでは対応が難しい場合に、ハイブリッド矯正(インビザライン+表のブラケット矯正)を提案することがあります。インビザライン治療中の方限定で、追加費用なしで提供する場合があります。

こんな方にはマウスピース型矯正装置が向いている可能性があります
以下に当てはまる方は、マウスピース型矯正装置が特に向いています。
- 矯正装置の見た目が気になって、なかなか治療に踏み出せなかった方
- 仕事や育児で忙しく、通院回数を減らしたい方
- 食事や日常生活をできるだけ変えずに矯正したい方
- 矯正治療中もお口の中を清潔に保ちたい方
- 「金属アレルギー」をお持ちの方、または金属アレルギーが心配な方
- 治療の痛みをできるだけ軽減したい方
一方で、1日20時間以上の装着が必須です。食事と歯磨きの時間以外は、基本的に装着し続ける必要があります。
装着時間が不足すると治療が進まないため、自己管理ができる方に向いている治療法です。
マウスピース型矯正装置のデメリットも知っておきましょう
マウスピース型矯正装置には、以下のようなデメリットもあります。
- 1日20時間以上の装着が必須で、装着しないと治療が進まない
- 対応できない症例がある(重度の「叢生」や「顎変形症」など)
- 細かい調整のために「再製作」が必要になる場合がある
- 奥歯が一時的に咬みにくくなることがある
・・・これらのデメリットを理解した上で、ご自身に合った治療法を選ぶことが大切です。

こんな方にはワイヤー矯正が向いている可能性があります
以下に当てはまる方は、ワイヤー矯正(ブラケット矯正)が向いている可能性があります。
- 歯並びの乱れの程度が大きく、難症例に該当する方
- 噛み合わせも大きく乱れている方
- マウスピース型矯正装置を1日20時間以上装着する自己管理が難しい方
- 装置の取り外しが逆にストレスになりそうな方
- 治療中の見た目がそれほど気にならない方
- 抜歯を伴う大きな歯の移動が必要な方
どちらが適しているかは、最終的には歯科医師の診断が必要です。
当院のマウスピース型矯正装置(インビザライン)〜特徴と治療の流れ
iTero Elementによる精密な型採り
当院では口腔内三次元光学スキャナー「iTero Element」を導入しています。
従来の型採りでは、「印象材」と呼ばれる材料を口の中に入れて固める方法が一般的でした。しかし、iTero Elementを使えばスキャナーを口の中に当てるだけで短時間・低負担で歯型データを取得できます。
また、このデータをもとに3Dシミュレーションを作成し、治療前に歯並びがどう変わるかを患者さん自身で確認していただけます。

治療の流れ(6ステップ)
- カウンセリング・・・お悩みや気になることを何でもご相談ください(初診相談)
- 精密検査・・・口腔内写真・レントゲン・スキャナーによる型採りなど
- 治療計画のご説明・・・3Dシミュレーションで治療後の歯並びを事前確認
- 契約・マウスピース型矯正装置の発注・・・データをアラインテクノロジー社へ送付
- 使用方法のご説明・治療開始・・・1日20時間以上の装着が必要です
- 治療終了・保定期間・・・後戻り防止のため「リテーナー」を装着します
治療期間:1〜3年程度(症例により異なります)
通院回数:12〜36回程度(症例により異なります)
通院頻度:2〜3ヶ月に1回程度
料金体系(税込)
- 初診相談:0円(料金表内に記載)/2回目以降:3,300円(税込)
- 資料採得+診断料:22,000円
- 毎月の調整料:3,300円〜5,500円
- インビザライン本体:715,000円〜990,000円
- ハイブリッド矯正(インビザライン+表のブラケット矯正):インビザライン治療中の方限定で追加費用なしで提供する場合がある
- デンタルモニタリング(遠隔診療):条件付きで追加費用なし
- PBMオルソ(光加速装置):希望者のみ別途110,000円
お支払いは現金(分割相談可)・クレジットカード(PayPay等各種電子マネー対応)・銀行振り込み(一括払いのみ、振込手数料患者負担)に対応しています。

主なリスク・副作用
・歯の移動に伴う痛みや違和感が生じる場合があります
・むし歯や歯周病のリスクが高まる場合があります
・後戻りが起こる可能性があります
・装着時間が不足すると計画通りに進まない場合があります
まとめ〜あなたに合った矯正を、一緒に見つけましょう
マウスピース型矯正装置とワイヤー矯正(ブラケット矯正)、どちらが優れているという話ではありません。
それぞれに特徴があり、患者さんの「歯並びの状態」「生活スタイル」「価値観」によって、最適な選択は変わります。
「見た目が気になる」「通院回数を減らしたい」「金属アレルギーがある」という方には、マウスピース型矯正装置が特に向いています。一方、難症例や自己管理が難しい場合はワイヤー矯正(ブラケット矯正)が適していることもあります。
当院では初診相談を実施しています。矯正に関するご不安・ご疑問は、どんな些細なことでも遠慮なくお聞かせください。
「3Dシミュレーション」で治療後の歯並びを事前にご確認いただくこともできます。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)に関する注意事項
※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けていない未承認医療機器です。
※海外で製造され、国内の販売代理店を通じて入手しています。
※国内にも薬機法の承認を受けたマウスピース型矯正装置は複数存在します。
※医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
著者情報
ロッソ矯正歯科 院長 赤木 秀瑛

略歴
2011年 神奈川歯科大学 卒業
2011年 岡山大学病院卒後臨床研修センター 歯科臨床研修
2012年~ たい矯正歯科 常勤
ちゅうりっぷ歯科 非常勤
2015年~ 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 顎口腔再建外科学分野 社会人大学院生
2019年 日本成人矯正歯科学会 認定医取得
2021年 ロッソ矯正歯科 開院
資格
歯科医師
衛生検査技師
日本成人矯正歯科学会 認定医
所属学会
日本矯正歯科学会
日本成人矯正歯科学会
日本舌側矯正歯科学会
日本口蓋裂学会
日本小児歯科学会
日本先進矯正歯科学会